2004/08/14

ハーマン・メルヴィル 「白鯨」

Moby Dick、または白いクジラ。

浪人してた春頃電車の中で読んだ岩波文庫を引っぱりだしてきた。阿部知二訳。意気込んでよんだけれど感動しなかったのを覚えている。スターバックスってここからとったのかなぁなんて事を思い出すくらい。エイハブってアハブのことだったんだね。
翻訳小説ってどうして、おかしな訛りがでてくんのかね。
田吾作、三太夫、駄目でしょ、こんな言葉使っちゃ。

なぜ、今、MobyDickなのか。
  1. Dylanが、グラミーをとった頃のインタビューで、読めとすすめていた。
  2. 聖書の暗号がインチキだということを、MobyDickで同様のことをして証明したという記事を文春で読んだ。
  3. なぜか、JB線の白い普通列車のことを、MobyDickと呼ぶようになった。・・・この電車は古いのと、長距離列車なのと、座席の構造などから混んでいて不快なため忌み嫌っていた。
など

初めて、そして一度だけ読んだのは、浪人していた頃。岩波文庫を3冊買って、千代田線の中で読んでいた。あまり面白くはなかったが、その頃でくわしていたキリスト教にからむこともあって、なんとか読み通した。

あれからもう、年齢が倍になるくらいの時間が経っているが、自分がまったくといっていいほど成長していないことを痛感した。<br />
ただし、エイハブとはアハブであり、イシュメイルはイシマエル、イライジィアはエリヤであることなどは、当時でもわかってよかったはずだがわかっていなかったことに気づいた。

まさに鯨を追ってしとめるような苦労だった。

(今の岩波文庫は阿部知二訳ではありません)


アイズワイドシャット

座頭市
シティオブゴッド
キルビル
アレックス
アイズワイドシャット

アレックス以外は全部よかった。アレックスもモニカはよかった。
モニカがよかったといってもその体がよかったという低級なよかっただけど。
よかったといっても退屈はしなかった、くらいの意味だね。
なかでもやはりすごいなと感心したのはキューブリックだ。
キューブリックの映画のよさというか不思議な魅力は、
何気ないやりとりが、自然というと凡庸だが、あたかも本当に起きていることのように見えるところ。もちろん映画なので、ウソで、作り物なんだけれど、これは、誰もが思う、他人の体験をのぞいてみたいという、少しスケベな好奇心を満たしてくれるものだ。
アイズワイドシャットはしかし、普通の映画なら訪れるであろうサービス的なシーンをことごとくはぐらかされる。そのはぐらかしも、大事な部位を隠すとか飛ばすとかいった打算的なものではない。
この映画はある夫婦の複雑な感情を描いたドラマなどではない。
どちらかといえば恐怖映画だ。しかしキッドマンとクルーズというキューブリックとは縁の無さそうな若い、ポップな俳優を選んだところに、キュウブリックのいたずら心を感じる。

具体的にあげると、
喫茶店に入ってコーヒーを頼む。ほかには?と聞かれていい、と答える。女が伝票を書いて置く。ビルがニックの居場所を尋ねる。自分は医者だということで安心させ、さらに診察結果を知らせたいのだといって連絡先を聞く。

そして聞いたホテルへ行って、フロントの男に話を聞く。
病院へ行って、死んだ女のことを聞く。死体安置室へ行って死体を見る。それを案内する男のなにげない仕草・・・。

屋敷に後日訪ねた後、わざわざ伝言をよこすために車で来る男。
運転手が後ろを振り返ってバックさせる・・・。